人工ジャイロ磁性特性の各種マイクロ波への応用
~磁性体を一切含まない非可逆メタマテリアルの利用~
整理番号:2016-054
研究者名: 小寺 敏郎(Toshiro Kodera)
所 属: 理工学部 総合理工学科 電気電子工学系 教授
専門分野:マイクロ波デバイス・アンテナ工学、人工電磁材料
キーワード:マイクロ波ミリ波素子、機能性アンテナ素子、人工電磁材料
研究概要
マイクロ波・ミリ波非可逆素子は磁性体の回転磁気特性(ジャイロ磁気特性)により非可逆特性を得ており、希土類永久磁石とイットリウム鉄ガーネット(YIG)注)等の希土類鉄酸化物が必要になりますが、磁石の存在は素子の集積化と小型化の障害となる上、磁気損失が動作周波数に比例することがミリ波・テラヘルツ領域への応用の障壁となり続けてきました。そこで、我々の研究室では、マイクロ波非可逆素子に不可欠な希土類磁性体の代替手段として、単向性デバイスを含む進行波共振構造により人工的にジャイロ磁性特性を作り出し、これをマイクロ波帯域において人工磁性体としてこれを各種マイクロ波素子に応用しました。
- 進行波共振により回転磁気(ジャイロ磁気)を達成(図1)リング共振器に単向性素子を装荷することで、構造中の波は一方向に制限され、進行波共振となる
- 人工ジャイロ磁気特性の応用例(図2~図4)
注):Yttrium Iron Garnet、高周波領域での磁気損失が小さいため、マイクロ波用磁性材料として用いられる
応用例・用途
- 人工的なジャイロ磁性特性により、小型化、軽量化を実現できます。また、集積回路製造技術をそのまま応用可能ですので、低コスト化も同時に実現できます。
- 従来技術では磁石の存在が実現を阻害していた新規デバイスの創出も可能です。
- 本技術(反射型ファラデー回転子)は、高等教育機関における電磁界シミュレーターの活用に関する投稿論文について、YEP (Yes! Education Program) Award 2015が授与されました。
研究設備
- 各種ベクトルネットワークアナライザ、スペクトラムアナライザ、各種信号発生装置、放射パターン測定装置、マイクロ波基板加工機、 3Dプリンター等