水圏生態系の捕食者の捕食圧を高めて 有害ラン藻の異常発生(アオコ)を抑制する(生命科学・化学系  岩見徳雄)

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水圏生態系の捕食者の捕食圧を高めて 有害ラン藻の異常発生(アオコ)を抑制する

整理番号:2016-072


研究者名: 岩見 徳雄(Norio Iwami)
所  属: 理工学部 総合理工学科 生命科学・化学系 教授
専門分野:生態工学, 微生物生態学
キーワード:アオコ抑制、水質改善、捕食圧、捕食-被食相互作用、ミクロシスティス、生態工学

 研究概要

富栄養化の進行した池沼〔写真1〕ではラン藻Microcystis(ミクロシスティス)〔写真2〕からなるアオコが大発生し利水問題を引き起こしています。当研究室では水圏生態系における捕食者被食者生物間相互作用に着目し、捕食の効率化を図ることでMicrocystisの大発生を抑制できるプロセスの開発を目指しています。

1.概要

 Microcystisは多糖質に包まれた細胞群体を形成するため周囲の捕食者(原生動物、微小後生動物など)に容易に捕食されないことが大発生の一因として挙げられています。これまでの研究で、Microcystisの細胞群体を物理的に個々の細胞に解体した結果、原生動物鞭毛虫類Monas sp.(モナス)〔写真3〕の捕食圧は高まり効率よくMicrocystisが減ることを室内実験で確認しました〔図1〕。
Microcystisを消化した捕食者からは窒素やリンなどの栄養物が水中に放出され、再びMicrocystisに利用されてしまうので、その対策として水生植物に栄養物を吸収させて除去するプロセスを考案しました〔図2〕。このプロセスの実用化に向けてMicrocystisが発生するタイ国の内水面養殖池で検証実験を行っています。

国内サイトでは、東京都井の頭公園恩賜池の景観と水質を改善するために水質調査と 図1 細胞群体解体による捕食圧の増加浄化研究を進めています。

写真1 富栄養化によるアオコ現象

写真2 アオコ原因種のMicrocystis

写真3 Microcystisを捕食する
Monas sp.

図1 細胞群体解体による捕食圧の増加

図2  Microcystis抑制プロセス(構想)

応用例・用途

  •  公園や寺院などの池、内水面養殖池や釣堀、ゴルフ場のバンカーなどのアオコ対策

研究設備

室外実験設備

  • 光学顕微鏡
  • バイオクリーンベンチ
  • サーマルサイクラ
  • 電気泳導
  • 分光光度計

屋内実験設備

  • メソコズム
  • モニタリング機器(温度, 照度, pH, DO, 濁度 他) など