スロッシングを利用した木造建築物の制振機構に関する研究~2層軸組模型の小屋組内に水槽を設置した制振機構~ (建築学部 年縄巧)

スロッシングを利用した木造建築物の制振機構に関する研究
~2層軸組模型の小屋組内に水槽を設置した制振機構~

整理番号:2016-075


研究者名: 年縄 巧(Takumi Toshinawa)
所  属: 建築学部  建築学科 教授
専門分野:構造工学・地震工学・耐震工学・維持管理工学、地盤工学
キーワード:スロッシング、木造建築物、制振機構、減衰

研究概要

木造軸組構造に耐震対策を施す場合、筋違や構造用合板等を用いて壁量を増やし、地震力に対して抵抗する構造とするか、壁内に制振ダンパーを入れて地震エネルギーを吸収する構造とするのが一般的である。一部の高層タワー等で既に用いられているスロッシングを利用した制振機構を、木造軸組構造への適用性を模型を用いて実証し、その有効性を確認した。木造軸組み模型(1/10サイズ)と小屋組内に設置したペットボトルを図1に示す。

  • ペットボトル(2リットル)を1~4本設置し、容器内の水の量は等分配して実験を行った。3次元振動台で1方向スイープ実験注)を行い、容器に対する水の量の割合が少ないほど減衰定数が大きい傾向があることを確認した(図2)。
  • 水の量が2,000 g、容器に対する水の割合が25%の時、減衰定数がもっとも大きく0.25となり、原模型(0.14)に対して約半分の地震応答に抑えられることが判明した。

注):正弦波振動数を連続して変化させる振動実験、ここでは加振振動数: 0.5-10 Hz、加速度振幅: 100 cm/s2で実施

 

図1 木造軸組み模型と小屋組内に設置したペットボトル

図2 スイープ実験における減衰定数
基本模型の減衰定数以上で制振効果あり

応用例・用途

  • 取付工事が容易な制振機構により、建築物の地震応答を半分程度に抑えることが可能となる。
  • 本制振機構を住宅設計に取り入れることで、地震に強い住宅を提供することが可能となる。

研究設備

  • 3次元振動台
  • 強震観測装置
  • 高感度振動計測システム
  • 水平加力試験装置
  • 可搬式起振器
  • モーションキャプチャ