スロッシングを利用した木造建築物の制振機構に関する研究
~鉄板を柱とした四柱模型に設置した制振機構~
整理番号:2016-076
研究者名: 年縄 巧(Takumi Toshinawa)
所 属: 建築学部 建築学科 教授
専門分野:構造工学・地震工学・耐震工学・維持管理工学、地盤工学
キーワード:スロッシング、木造建築物、制振機構、減衰
研究概要
スロッシングを利用した制振機構を、木造軸組構造への適用性を模型を用いて実証し、その有効性を確認した。容器内の水の可動量が十分な場合、水の量が多いほどスロッシングによる制振性能は高くなるが、積載荷重が増えることで構造的に不利になる側面もある。そこで、少ない水の量で効果的な制振性能が得られる機構を考案・実証し、その有効性を確認した。
基本構造体として、木造軸組模型と同等の振動特性を持ち、繰り返し振動実験を受けても振動特性が変化せず、特性がシンプルな鉄板を柱とした四柱模型を用いた(図1)。固有振動数3 Hzの鉄板四柱模型の頂部に水槽(図2、ペットボトル)を取り付けて振幅100cm/s2、0.5~10 Hzでスイープ加振した結果を示す(図3)。
- 基本模型に対して、応答低減率は4割以下であり、水の量が増えるほど、またバンプなしよりバンプありの方が応答低減率は75〜56%程度低くなることが分かった(図4)。
- 水の量が多いほど制振効果が高くなることが分かった。
応用例・用途
- 鉄板四柱構造と新規制振機構により、建築物の地震応答を4割以下に抑えることが可能となる。
- 本制振機構を住宅設計に取り入れることで、地震に強い住宅を提供することが可能となる。
研究設備
- 3次元振動台
- 強震観測装置
- 高感度振動計測システム
- 水平加力試験装置
- 可搬式起振器
- モーションキャプチャ