耐熱CFRP製ハニカムサンドイッチパネルの開発~軽量・高剛性に高温耐久性を付加する~(機械工学系 小山昌志)

耐熱CFRP製ハニカムサンドイッチパネルの開発
~軽量・高剛性に高温耐久性を付加する~

整理番号:2016-035


研究者名: 小山 昌志(Masashi Koyama)
所  属: 理工学部 総合理工学科 機械工学系 准教授
専門分野:材料力学、複合素材、耐熱材料
キーワード:CFRP、耐熱性樹脂、ハニカムサンドイッチパネル、フラットワイズ強度、曲げ特性

研究概要

人工衛星や航空機などの機体には、軽量・高剛性なサンドイッチパネルが用いられており、現在、人工衛星ではコア材にアルミハニカム、スキン材に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いたハニカムサンドイッチパネルが広く使用されています。しかし、金星探査など太陽近くの観測用人工衛星では従来のサンドイッチパネルが満たしている軽量性、高い寸法安定性、低温での安定した機械特性に加えて、250℃~300℃に耐え得る高い耐熱性も要求されます。そこで、耐熱構造体への適用可能性を検討しましたので、紹介します。

  • ポリイミドCFRPハニカム  強化繊維に炭素繊維(T300、東レ製)を用い、母材をポリイミドとしたCFRPにより成形されたハニカムコアをコア材として、同材料をスキン材としたサンドイッチパネルを作製しました。Co-Cure法注1)と、Two-Step法注2)の2種の成形方法を採用しました。
  • 高温特性評価  スキン材とコア材の接着強度測定のために、図1に示すフラットワイズ引張試験を、常温から300℃の測定温度域で実施しました。また、パネルの曲げ特性として、曲げ剛性、および曲げ強度を同様の温度域で試験を実施しました。
  • 測定結果  両成形条件で作製したパネルで、高いフラットワイズ強度を示すことが確認されました(図2)。また、300℃でもフラットワイズ強度、曲げ剛性、及び曲げ強度を維持することが確認されました。これらの結果から、本サンドイッチパネルは耐熱部材としての適用可能性が示唆されました。

注1):Co-cure法でサンドイッチパネルを成形した試験片。Co-cure法とは、コア材上下面をスキン材となるプリプレグ(繊維状補強材と熱硬化樹脂他による強化プラスチック成型材料)で挟み、ホットプレスでスキ    ン材の熱成形とコア材の接着を同時行う方法
注2):スキン材を熱成形し、その後ホットプレスによりコア材と接着させる方法

図1 フラットワイズ試験

図2 フラットワイズ強度

図3 曲げ特性

応用例・用途

  • 耐熱性樹脂を用いたCFRP製サンドイッチパネルにより、軽量・高剛性を維持した高温耐久性のある材料に関する研究が可能です。