水耕栽培で野菜のおいしさを向上させる
~腐植物質フルボ酸添加の効用~
整理番号:2016-59
研究者名: 吉澤 秀二(Shuji Yoshizawa)
所 属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 教授
専門分野: 環境影響評価、機能物質化学、環境材料学
研究者HP: http://www.hino.meisei-u.ac.jp/es/staff/eco-material/
キーワード: 水耕栽培、野菜、フルボ酸、硫酸態窒素、うま味、糖度、抗酸化作用
研究概要
水耕栽培は、天候の影響を受けず、年間を通して栽培を行えるため、安定した農業経営が可能となる。また、腐植物質の一つであるフルボ酸は森林土壌に多く含まれる腐植物質で、植物にミネラルを補給する役目を担っていると考えられている。フルボ酸を用いた土耕栽培は行われているが、水耕栽培には使用された例はない。
水耕栽培(写真1)の養液に、酸にもアルカリにも可溶なフルボ酸(写真2)を添加することで、野菜(リーフレタス)の品質が改善されることが認められた注)。
- 水耕栽培用養液のみを①ブランクとして、②フルボ酸を含有する竹材堆肥抽出液添加養液と③精製したフルボ酸添加養液を用いてリーフレタスを水耕栽培し、成長促進効果及び品質向上効果について検討した。
- 葉茎や根に成長の違いは殆ど見られなかったものの、フルボ酸を添加することで、苦み成分として知られている硝酸態窒素が減少し、アスコルビン酸(ビタミンC、抗酸化作用)、L-グルタミン酸(うまみ成分の一つ)、糖度の増加が確認された(図1)。
注):本フルボ酸を利用した水耕栽培の研究は、株式会社T&Gとの共同研究によって成されたものである
応用例・用途
- 野菜の水耕栽培培養液へのフルボ酸添加効果:苦み成分としての硝酸態窒素含有量を低減させ、且つおいしさを増進するうま味成分、抗酸化作用や糖度を増加させる
研究設備
- 水耕栽培棚、恒温恒湿室、RQフレックス反射式光度計、吸光光度計