レーザーブレークダウン着火方式による内燃機関の運転特性~高効率化と低環境負荷を目指して~(機械工学系 齊藤剛)

レーザーブレークダウン着火方式による内燃機関の運転特性
~高効率化と低環境負荷を目指して~

整理番号:2016-040


研究者名: 齊藤 剛(Takeshi Saito)
所  属:理工学部 総合理工学科 機械工学系 教授
専門分野:燃焼工学、エンジン工学
キーワード:内燃機関、レーザーブレークダウン着火、高効率化、低環境負荷

研究概要

内燃機関による環境問題として、炭酸ガス排出による地球温暖化、窒素酸化物(NOX)等の排出による大気汚染、化石燃料の枯渇等が挙げられている。ガソリンを使用する内燃機関として、更なる高効率化と低環境負荷を目指して、スパークプラグに替わり得る方式としてレーザーブレークダウン着火注)に着目して研究を進めている。

  • 窒素希釈率0%時の着火を比較すると、レーザーブレークダウン着火では、早期に着火核中心から火炎が大きく広がるのに対して、火花点火の場合は遅れてスパークプラグ先端付近で火炎が広がることを確認した(図3)。
  • 各吸気混合気条件での点火時期における排気ガス中のNOXと全炭化水素濃度(THC)を確認したところ、窒素希釈状態で更に希薄化させることでNOX濃度は低下し、また窒素希釈によりTHC濃度は低下し、熱効率が向上することが明らかとなった。いずれの場合も、レーザーブレークダウン着火方式の方が優れていることが明らかとなった。

注):レーザー光を集光して燃焼室中心でプラズマを発生させて着火させる方式で、火炎から燃焼室壁面への熱損失低減が期待できる

 

図3 レーザーブレークダウン着火(上)と火花点火の比較クランクが最も高い位置に到達した位置(上死点)を0度(ATDCdeg = 0)

図3 レーザーブレークダウン着火(上)と火花点火の比較 クランクが最も高い位置に到達した位置(上死点)を0度(ATDCdeg = 0)

応用例・用途

  • レーザーブレークダウン着火方式と空気等によるガソリンの希釈・希薄化を採用することで、燃焼率の向上と環境負荷低減が期待できる。

研究設備

  • Nd-YAGレーザー、高速度カメラ、シュリーレン光学系、動力計、ガスクロマトグラフィ、NOX-O2濃度計、CO-CO2濃度計、発熱量計