「電力の仮想的色づけ」を用いたEV充放電 ~充放電時の電力売買インセンティブ~(電気電子工学系 石田隆張)

「電力の仮想的色づけ」を用いたEV充放電
~充放電時の電力売買インセンティブ~

整理番号:2016-048


研究者名: 石田 隆張(Takaharu Ishida)
所  属: 理工学部 総合理工学科 電気電子工学系 教授
専門分野:電力系統解析、社会インフラシステム、デジタル放送、ビッグデータ、分析の制御応用、蓄電池劣化分析、電気自動車の電力系統連系
キーワード: 電気自動車、蓄電池、充電負荷、スマート充電、充電アルゴリズム

研究概要

 電力自由化がこれから進み、電気自動車(以下、EV)からの電力が電力系統に分散電源の形態で供給されることが考えられます。EV所有者が個人ベースであることから、EVの所有者に電力を供給してもらうために、ある基準に沿ったインセンティブが必要と考えられます。本研究では、このインセンティブを「電力の仮想的な色づけ」手法に基づき、EVに搭載されている電池等から供給した電力の影響範囲に応じて、売買価格を動的に変動させるための基本データを作成します。

  • EVSEを介して各EVへの充放電量を制御する概要を図1に示します。
  • 系統情報に基づいて、開発したシミュレータにて、「電力の仮想的な色づけ」手法を用いて、対象配電系統に接続しているEVごとの充放電パターンを算出します(図2)注)

石田先生-図1

注):対象となる配電系統とEVの充放電データを取得し、潮流計算※実行後「電力の仮想的な色づけ」手法で各負荷への充放電の影響を算出。その結果と売買電コストを考慮して、EVの最終的な充放電量を決定すします。
潮流計算:発電と負荷のデータから、電力系統中の電力の流れを算出する計算

用語説明 EV: Electric Vehicle(電気自動車)、 EVSE: Electric Vehicle Supply Equipment(充電器)、Load: 負荷、Generator: 発電機、 Bus: 母線(電力機器をまとめた仮想的な線)、Power Flow Calculation: 潮流計算

応用例・用途

  • 「電力の仮想的な色づけ」手法を他の分散電源(例:太陽光、風力、定置型蓄電池)にも適用することで、需要家の電力コストを最適にします。
  • 電力自由化に向けて、「電力の仮想的な色づけ」によりEV所有者へのインセンティブが明確になります。