流量観測による都市部小水力発電の可能性 ~地域で考える自然エネルギー~(建築学部 藤村和正)

流量観測による都市部小水力発電の可能性
~地域で考える自然エネルギー~

整理番号:2016-074


藤村先生-顔写真

研究者名: 藤村 和正(Kazumasa Fujimura)
所  属: 建築学部 建築学科 教授
専門分野: 水文学、水資源学、河川工学、地域防災
キーワード: 小水力発電、水循環解析、降雨データ、有効利用、地域活用

研究概要

 東京都日野市は多摩川と浅川の合流地域にあり、戦国時代末期から取水が活発で、農業用水路が発達していたが、現在では市域の多くが都市化し、農業用水路はほとんど機能していない。

図1 水循環のイメージ

図1 水循環のイメージ

 日野市浅川や根川のような水位差の小さい河川での小水力発電を実施できれば、都市部での最初のモデルとなり、再生可能エネルギー源としての有効活用が可能となる。
日野市では、市民主体により用水路再生まちづくりの延長として、小水力発電の設置を検討している。そこで、日野市根川において流量観測と降雨データを用いた水循環解析を行い、小水力エネルギー可能量を推定した。
水循環モデルにアメダス八王子の日雨量と気温データを与えて根川の流量を算出し、これを根川での実測流量および国土交通省水文・水質データベースの高幡橋地点の流量と比較検証した。その結果、渇水流量(355日流量)は3.77 mm/day となった。これは以下の式から、発電出力は7.84 kWとなり、学校施設(中学校)での平均発電出力(17kW)の4割程度に相当する。

P(kW)=9.8×Q(m3/sec.)×H(m)×η(Hは1m、ηは0.7と仮定)
P:発電出力、Q:流量、H:有効落差、η:総合効率

図2 根川流域(26.2 m2)及び浅川流域(153.9 m2)

図2 根川流域(26.2 m2)及び浅川流域(153.9 m2)

図3 根川流域 日単位ハイドログラフと流量観測実測値

図3 根川流域 日単位ハイドログラフと流量観測実測値

応用例・用途

  • 市民や行政等との話し合いは必須となるが、中小河川の流量を利用して小水力発電を実施することで、小水力による再生可能エネルギーが地域づくり(地域活性化)の一つの手法になりうる。
  • 「日野の水車活用プロジェクト」で報告(2015年1月17日)

研究施設

  • 電磁流速計(低水時流量観測)