表面活性化結合の拡張~従来困難だったポリマーやガラスなどの透明常温接合が可能に~(連携研究センター 須賀 唯知)

表面活性化結合の拡張~従来困難だったポリマーやガラスなどの透明常温接合が可能に~

整理番号:2019-005


研究者名: 須賀 唯知(Tadamoto Suga)
所  属: 連携研究センター 客員教授
専門分野: 精密工学、実装工学、材料接合
キーワード:精密工学、異種材料接合、銅の低温直接接合、ポリマー・ガラス透明接合

研究概要

1.背景(現在の問題点)

 常温接合は、超高真空という特殊な環境が必要であったため、その適用対象は限定されていた。また、高分子フィルムやガラスには適用できないという問題もあった。一方で従来の接着剤による接合では耐久性や、接着剤から放出されるガスの影響による封止性という面で問題がある。これらの条件をクリアし、銅などの金属を大気圧中で低温接合(200℃以下)する技術や、ポリマーやガラスを透明性を保ったまま低温で接合する技術が求められている。

2.技術(本技術の概要)

 本研究グループは、10nm程度のシリコンや一種の金属酸化物層によるナノ密着層を用いた表面活性化手法によりフィルム材料同士、あるいはフィルムとガラスの透明常温接合に成功している。
 また、イオン衝撃による酸化膜除去に加え、プラチナ触媒によるギ酸活性化を組み合わせ、大気圧下、200℃以下でのはんだを使わない銅の低温直接接合を実現している。

3.本技術の特徴

 本手法では、従来の接着剤による接合に比べ、ナノレベルの非常に薄い層によって接合できるため、フレキシブル性を損なわない。かつ、低いガス透過性をもつ封止が実現され、有機ディスプレイや太陽電池の製造に適用されることが期待される。
結合の特徴:熱加工が不要。接着剤が不要。
フレキシブル性を損なわない。
高封止性能。
(材料により大気中でも可能)
接合強度の制御:剥離を前提とした仮接合にも対応

応用例・用途(相談に応じられる分野)

 ■ウェアラブル・フレキシブルデバイスの3D化 
 ■フィルムデバイスの封止 
 ■銅の低温直接接合

研究設備・備考

 ■ 常温接合装置 
 ■ ギ酸活性化接合装置 
 ■ 水素ラジカル装置