広域大気汚染の発生メカニズムと抑制~大気汚染の動態解析、発生源の特定と抑制対策~(環境科学系 櫻井達也)

広域大気汚染の発生メカニズムと抑制
~大気汚染の動態解析、発生源の特定と抑制対策~

整理番号2016-071


研究者名: 櫻井 達也(Tatsuya Sakurai)
所  属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 准教授
専門分野:大気環境問題、大気環境アセスメント
キーワード:大気汚染、予測精度、動態解析、汚染物質抑制対策、健康影響

研究概要

大気汚染は、人間の社会的・経済的な活動が主な原因で起こり、地球温暖化を始め、酸性雨、光化学スモッグなどの原因となっており、人の健康や環境に悪影響をもたらすことで知られている。近年、越境大気汚染として知られているPM2.5注1)についての関心も急速に高まってきている。
多点サンプリングで得られる濃度データを対象にして気象モデルWRF注2)を用いて3次元空間気象データを作成し、或いは各地域の排出源データを作成し、CMAQ注3)による大気質シミュレーションを行って、予測精度を向上させつつ、大気汚染の動態を解析すると共に、大気汚染物質の発生源の特定と抑制対策を明確にし、生態系及び人体への健康影響を明らかすることを目的とした研究を行っている。解析までの流れを下図に示す。
工場、火力発電所、自動車などの排煙が主な原因で、大気汚染物質には、窒素酸化物、微粒子状浮遊物質、二酸化炭素、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩などがある。
健康障害として、二酸化硫黄濃度との間に強い関連が認められる気管支喘息、光化学オキシダントによる目や気道の刺激症状、浮遊粒子状物質による呼吸器疾患や肺癌などがよく知られている。

注1):粒径2.5 mm以下の微小浮遊粒子状物質、注2):次世代気象予測モデル、Weather Research and Forecasting Model
注3):Community Multiscale Air Quality、汚染物質の大気中の濃度を変化させる物質・化学過程を詳細に解析できるモデルであり、世界中で多くの使用実績が蓄積されつつある大気質モデル

応用例・用途

  • 広域大気汚染の動態を解明することで、汚染物質の発生源の特定と発生を抑制ことが可能となる。

研究設備

  • PCクラスター計算機、光散乱法PM2.5測定器、パッシブサンプラー観測網