都市域における土地利用計画 ~大都市周縁市街地域での調査分析ツール~(環境科学系 木下瑞夫)

都市域における土地利用計画
~大都市周縁市街地域での調査分析ツール~

整理番号:2016-070


研究者名: 木下 瑞夫(Mizuo Kishita)
所  属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 教授
専門分野:環境影響評価・環境政策、交通工学・国土計画
キーワード:土地利用計画、自然的環境保全、地理情報、オーラル情報、地理情報システム

研究概要

大都市であってもその周辺においては人口減少の兆しが見え始めていることから、市町村マスタープランの見直し、特に周縁市街地の土地利用計画の見直しを考える必要がある。
地理情報注1)から得られる自然的環境に関わる基本情報と、住民から得られる動植物の存在及び生活空間の変容に関わるオーラル情報注2)(図2)を地理情報システム注3)上で結合することにより、マスタープランづくりに必要となる自然的環境保全のための基本情報を得ることが可能となる。
大都市近郊に位置し自然的環境の復元が見込まれる神奈川県秦野市周縁部(図1)のうち西部地区(図3)を選定し、地理情報とオーラル情報を結合した結果、次のような時空間情報を得た。

  • 爬虫類、昆虫類、鳥類の年代別の減少、消失状況をある程度明らかにすることができた。
  • 四十八瀬川周辺は水田耕作による景観を保っており、生態系に大きな変化は認められない。
  • 一方、旧桜土手周辺ではタバコ栽培等の畑地が急速に住宅地に変貌した。農地は孤立して分布しており、生態系も大きく減少している。

注1):地形図や航空写真から得られる自然的環境情報に歴史や文化を組み合わせた情報
注2):過去の自然環境や住環境を知る人達に対する聞き取り情報
注3):様々な情報を地図の上に重ね合わせて関連性を明確化及び視覚化させるシステム

図1 秦野市周縁部(○印は語り手により語られた場所が存在するエリア、 網掛け部分は市街化区域)

図2 訊き手と語り手の相互作用

図3 秦野市西部の事例地区
・四十八瀬川周辺:自然環境が存在する市街化調整区域
・旧桜土手周辺:かつて農地が存在した市街化区域

応用例・用途

  • 地理情報とオーラル情報を地理情報システムで結合することにより、時系列的関連性が明確となり、自然環境保全のための土地利用計画を見直す上での強力なツールとなる。

研究設備

  • 地理情報システムソフトウェア(GISソリューション)