廃棄物最終処分場の不燃破砕残渣からの浸出水による環境への影響評価(環境科学系 宮脇健太郎)

廃棄物最終処分場の不燃破砕残渣からの浸出水による環境への影響評価

整理番号:2016-062


研究者名: 宮脇 健太郎(Kentarou Miyawaki)
所  属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 教授
専門分野:廃棄物工学、衛生工学
キーワード:不燃破砕残渣、浸出水、重金属類、環境影響、埋設用土壌代替材

研究概要

廃棄物最終処分場に埋め立てる不燃破砕残渣の環境への影響について検討を行った結果、降雨により重金属類は浸出水として流出する可能性が示唆された。

  • 不燃破砕残渣を表1の条件(降雨量4 mm/日相当)で、定量送液ポンプを用いて、純水を降水として流入した。
  • Cu、Zn、Cr、Mn、 Fe は環境省の一律排水基準と、B、As、Se、Pb は土壌環境基準と比較した。
    Cu:銅、Zn:亜鉛、Cr:クロム、Mn:マンガン、 Fe:鉄、 B:ホウ素、 As:ヒ素、Seセレン、Pb 鉛
  • 浸出水のpHは次第に高くなり、排水基準を超えたが、その後低下する傾向にあった(図1)。
  • 純水を流し始めてから、すべての元素で流出濃度が全体的に高くなり、その後排出される濃度が低下して環境基準を下回る結果となった。図2にSeの例を示す。

表1 カラム試験の条件

・不燃破砕残渣は、粗大ごみや不燃物として回収された廃棄物から、鉄、アルミ等の資源を回収後、細かく破砕されたものである。
・不燃破砕残渣はA 市資源化施設から採取し、室温で10 日間十分乾燥させて使用した。

応用例・用途

  • 重金属類は洗い流されやすいため、十分な水による浸漬洗浄を行うことによって不燃破砕残渣の環境への影響をさらに低減できる。

研究設備

  • 原子吸光光度計、pHメーター、 ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計:共通機器) 、乾燥機