廃棄物最終処分場の高pH浸出水対策技術の検討 (環境科学系 宮脇健太郎)

廃棄物最終処分場の高pH浸出水対策技術の検討

整理番号:2016-061


研究者名: 宮脇 健太郎(Kentarou Miyawaki)
所  属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 教授
専門分野:廃棄物工学、衛生工学
キーワード:廃棄物最終処分場、高pH浸出水、大気中炭酸ガス中和能

研究概要

廃棄物最終処分場の廃棄物として、可燃ごみの焼却残渣が多く含まれており、高pH浸出水流出の原因となっており、排水基準(pH 8.6~5.8)を満たせない場合もあり、対策が急務な状況にある。高pH浸出水の主な要因は水酸化カルシウムであり、大気中の炭酸ガスを利用した中和による解決法を紹介する。
浸出水集排水管近傍の砕石層で起こる大気中の炭酸ガスによる中和反応について、小粒径砕石(Φ10~16 mm)及び大粒径砕石(栗石:Φ50~150 mm)を用いて検討した。ここでは、大粒径砕石を使用した結果について説明する。模擬装置を図1に示す。

  • 流入量が少ないと、浸出水pHは 低下する(図2)。流入量の増加に伴い、砕石表面の水膜が厚くなり、大気との接触時間も減少する(図3)ためpHが上昇する。
  • 砕石層の充填高さを高くする(2回繰り返したものを60 cm、3回のものを90 cmと定義する)ことにより十分な中和能が得られる(図4)。

図1 大粒径砕石層における浸出水流出模擬装置
内径:D800 mm X W560 mm X H480 mm 砕石充填高さ:300 mm
試料はポンプにより砕石層上部より均一に滴下

 

応用例・用途

  • 大気中の炭酸ガスを利用した中和により、高pH浸出水流出の問題を解決できる。

研究設備

  • 原子吸光光度計、pHメーター、イオンクロマトグラブ分析装置、各種溶出試験機器、乾燥機