クリーニング工場内の温熱環境の改善に向けて ~窓の開閉状況が作業環境に与える影響~(建築学部 小笠原岳)

クリーニング工場内の温熱環境の改善に向けて
~窓の開閉状況が作業環境に与える影響~

整理番号:2016-093


研究者名: 小笠原 岳(Takeshi Ogasawara)
所  属: 建築学部 建築学科 准教授
専門分野:建築設備学、建築環境工学
キーワード:空調設備、温熱環境、空気質、数値流体力学

研究概要

多数の高温発熱機器を有する工場では、他の用途の建築と比べて建築内の温熱・空気環境が問題となる場合が多いですが、工場内の温熱・空気環境を詳細に報告した例は少なく、環境改善に向けた事例の収集や対策手法の整理が望まれています。我々は、夏季のある「クリーニング工場」を研究対象に、効率的な換気による環境改善手法を構築するため、数値流体力学注1)を使用して窓の開閉状況が工場内環境に与える影響について検討しましたので、紹介します。

クリーニング工場は多くの高温発熱機器を有し、機器の多くは蒸気を利用する上、洗濯・漂白の際に多くの薬剤を使用しているため、作業者は不快な高温多湿の作業環境に曝されています。

  • 実測結果:測定点と開口近傍点との温度差は約2.1℃
  • アンケート結果:放射熱と不快なにおいを強く感じている
  • CFD結果:①現状の屋根部分でのショートサーキット注2)を改善することで室内の温熱環境が向上する

②ウィンドウキャッチャの設置は室内の温熱環境の向上に効果がある(幅45 cm、高さ90 cmのウィンドキャッチャを西面の窓に4か所、南面の窓に6か所設置)

注1):Computational Fluid Dynamics(CFD)、流体の運動をコンピュータで解析すること
注2):吸気口と排気口の位置が近すぎると、狭い範囲で空気が循環する現象

図1 クリーニング工場の平面図 及び測定位置

図2 工場内風景

図3 工場内部のCFD解析モデル

図4 平面温度分布(上図)及び 平面流速分布(下図) ウィンドウキャッチャ設置時の 高さ1.1 mでのCFD結果

 応用例・用途

  • 工場内の温熱・空気環境を数値流体シミュレーション解析した結果に基づいて、より効率的に換気することで、作業環境を改善できます。
  • 本研究の成果に対して、2015年日本建築学会若手優秀発表賞が賞与されました。

 研究設備

  • 数値流体シミュレーション解析ソフト