気象の極端現象化での生態系機能最大化に向けた土地利用法の提案 (環境科学系 柳川 亜紀)

気象の極端現象化での生態系機能最大化に向けた土地利用法の提案

整理番号:2019-007


研究者名: 柳川 亜紀(Aki Yanagawa)
所  属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 准教授
専門分野: 景観生態学、土壌水文学、緑地学
キーワード: 持続的土地利用、生態系機能、乾燥地、都市緑地

 研究概要

生態系の持つ環境修復機能を評価する

 近年問題となっている、気象の極端現象(ゲリラ豪雨や干ばつ)に対する植生の影響の受けにくさや回復力に着目しています。環境修復機能を支える環境要素、例えば種の多様性、気象条件、土壌の性質や土地利用履歴などに地域間でどのような違いがあるか、その重要度をモデルを構築することにより明らかにし、当該地域が発揮しうる最大限のレジスタンスレジリエンスを提示します。グローバルなビックデータによる数値解析やローカルな植生および土壌調査、現地観測など、様々な手法を用いて生態系機能を評価しています。

▸干ばつ年と非干ばつ年の草本植生下における積算蒸散量と土壌水分環境をシミュレーションした結果、干ばつ年には、乾燥条件下でも蒸散を継続できる、高い蒸散効率を有する種が優占し、根圏にはより強い力で保持された水分だけが土壌に残り、他の植物の生育には厳しい土壌環境を作っていることが示された。

干ばつの際、各種の生態系を構成する生物および非生物要素がレジスタンス(干ばつの影響の受けにくさ)に与える影響を評価した図
黄緑の部分は干ばつの際のレジスタンスに植物種数が最も寄与していることを示す

応用例・用途

極端な気候変動の影響を受けにくく、その土地の特性を活かした土地管理施策を提示

備考

(参考資料)乾燥地における土地利用期間が干ばつへの脆弱性に与える影響
柳川亜季,吉川沙耶花,Jaeil CHO,Hyungjun KIM,鼎信次郎 水工学論文集   71 I-931-I-936   2015年