環境にやさしいマイクロバブル発生装置の開発~旋回水中翼を用いた水中への高効率気泡導入~(機械工学系 熊谷一郎)

環境にやさしいマイクロバブル発生装置の開発
~旋回水中翼を用いた水中への高効率気泡導入~

整理番号:2016-027


研究者名: 熊谷 一郎(Ichiro Kumagai)
所  属: 理工学部 総合理工学科 機械工学系 教授
専門分野:流体工学、流体可視化技術
キーワード:省エネルギー、曝気装置、微小気泡発生装置、撹拌混合

研究概要

下水処理の過程で行われるエアレーションでは、処理施設の総消費電力の大半を占めるエネルギーが使われており、より消費電力の少ない気泡発生装置の開発が期待されている。旋回翼を用いた揚力型気 泡発生装置では、翼周囲の流れにより翼上面に発生する負圧を利用して空気を水中に導入するため、空気圧送による熱力学的エネルギーの損失がなく、消費電力の大幅な削減が見込まれる。新型翼を回転翼型曝気装置(図1 I.)に採用し、空気導入性能について検討し、以下のことを明らかにした。

  • 翼の空気孔から放出される空気が、周囲の流れの影響によって微細化されて気泡が形成される。小さな空気孔を設けた水中翼を回転させ、sub-mmからmmオーダーの微小気泡の発生に成功した(図1 II.)。
  • 気泡流量は迎角の増大に伴って増加し、最大流量となる迎角が存在することが明らかとなった(図2)。
  • 気泡流量は旋回速度と共に増加した(図3)。旋回速度の増加によって、翼上面に発生する低圧領域と大気圧との圧力差が大きくなったことで説明できる。

 

図1 回転翼型曝気実験装置模式図と 回転水中翼からの放出気泡
I. (a) 横からの図、(b) 上方からの図、(c) 水中翼 II. 水深 100 mm、周速度 1.8 m/s、迎角35°

図2 気泡流量の迎角依存性

図3 気泡流量の旋回速度依存性

応用例・用途

  • 下水処理や湖沼の水質改善等での消費電力の少ない気泡発生装置として利用できる。
  • 液体を選ばないエマルジョン(液-液混合)の作製や効率的撹拌にも利用可能である。
  • 村井祐一、田坂裕司、熊谷一郎、回転翼式気泡発生装置、特許第5501028号(2014.3.20、
    出願人:国立大学法人北海道大学)

研究設備

  • ハイスピードカメラ
  • 3D CAD
  • 3Dプリンター
  • 実験水槽