NMRによるタンパク質-低分子リガンド相互作用解
~WaterLOGSY法とSTD法の比較と応用~
整理番号:2016-019
研究者名: 田代 充(Mitsuru Tashiro)
所 属: 理工学部 総合理工学科 生命科学・化学系 教授
専門分野:分析化学
キーワード:NMR、タンパク質、低分子リガンド、相互作用、選択的検出、反応追跡
研究概要
我々の研究室で開発したNMRにおける水シグナルの効率的な消去技法を適用したWaterLOGSY法及びSTD法により得られたスペクトルの結果を紹介します。両法とも、磁化移動した結合型低分子リガンドのスペクトルを検出する方法です。また、本法の応用例として、反応の経時変化を追跡した結果も紹介します。
- ヒト血清アルブミン(HSA)とトリプトファン(Trp)の複合体の通常の1H NMRスペクトルに対するWaterLOGSY法及びSTD法によるスペクトルを図1に示します。
- WaterLOGSY法では、タンパク質によるシグナルは十分には消去できていませんが、結合しないグルコースのシグナルは下向きになります(図1上)。
- STD法では、タンパク質によるシグナルは効率よく消去され、結合したトリプトファンのシグナルをより鮮明に確認することができます(図1中)。
- インベルターゼ(b-Fructofuranosidase)によるスクロースの加水分解反応の経時変化を図2に示します。スクロースとインベルターゼの相互作用を利用して、スクロースのH1シグナルの強度変化を観ることで、加水分解反応の進行を容易に追跡できます。
応用例・用途
- タンパク質と低分子リガンドの相互作用をより効率的に解析できるため、医薬品スクリーニング法としても活用できます。
研究設備
- 核磁気共鳴装置
- エレクトロスプレーイオン化質量分析装置