NMRによるタンパク質-低分子リガンド相互作用解析
~低分子リガンドシグナルの選択的検出方法~
整理番号:2016-020
研究者名: 田代 充(Mitsuru Tashiro)
所 属: 理工学部 総合理工学科 生命科学・化学系 教授
専門分野:分析化学
キーワード:NMR、タンパク質、低分子リガンド、相互作用、選択的検出
研究概要
水溶液中でタンパク質と相互作用する低分子リガンドを会合状態のまま測定する方法として、NMRを使用する手法がよく知られており、中でもWaterLOGSY法注1)及びSTD法注2)が注目されています。水シグナルの効率的な消去方法の開発を行い、WaterLOGSY法とSTD法に取り入れて、リガンドシグナルの選択的検出を可能にしましたので、得られた成果の一部を紹介します。
- WaterLOGSY法の測定手法を図1 に、応用例を図2に示します。相互作用しているリガンドのシグナルは上向きに、していないリガンド分子のシグナルは下向きに現れます。
- STD法の測定手法を図3 に、応用例を図4に示します。タンパク質によるシグナルが効率よく消去され、リガンド分子のシグナルが鮮明に表れていることが分かります。
注1):Water-Ligand Observed via Gradient Spectroscopy、水シグナルを選択的に励起して、水の磁化をタンパク質に移し、次に結合した低分子リガンドに磁化を移動させて低分子リガンドを検出する方法
注2):Saturation Transfer Difference、飽和移動差分法、タンパク質シグナルを選択的に照射して、タンパク質の磁化を結合しているリガンドに移動させ、低分子リガンドを検出する方法
応用例・用途
- タンパク質と低分子リガンドの相互作用をより効率的に解析できるため、医薬品スクリーニング法としても活用できます。
研究設備
- 核磁気共鳴装置
- エレクトロスプレーイオン化質量分析装置