遠隔看護支援システムの開発~テレナーシングシステムの適用例~ (機械工学系 亀井延明)

遠隔看護支援システムの開発
~テレナーシングシステムの適用例~

整理番号:2016-023


研究者名: 亀井 延明(Nobuaki Kamei)
所  属: 理工学部 総合理工学科 機械工学系 教授
専門分野: 人間工学、遠隔医療、機械力学、CAD/CAM、競技車両設計・製作
キーワード: テレナーシング、遠隔看護、在宅看護、モニタリング、慢性閉塞性肺疾患

研究概要

在宅看護のICT注1)化は少しずつではあるが進んでおり、テレナーシング注2)では、患者の日々の心身情報を把握して、病状悪化の兆候はないかモニタリングする。悪化の兆候が把握された場合、テレビ電話等によって患者の様子を観察する(図1)。モニタリングやテレビ電話等の必要な要素を抽出し、テレナーシングシステムを考案・設計・開発した。具体例として、テレナーシングが有効な慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)注3)患者用に開発した例注4)についても紹介する。

  • 患者用端末の仕様:①携帯性向上→タブレット端末、②タッチ操作に不慣れ→操作性の低下を抑えた画面レイアウト、③オペレーティングシステム→Android
  • 患者によるデータ入力の負担軽減と入力ミスの排除のため、Bluetooth無線通信の機能を搭載した計測器と読取装置を開発した。
  • テレナース側ではWebの使用により、日々のデータ閲覧、問診回答の登録、看護記録の入力等が可能である。
  • 在宅モニタリングに基づくテレナーシング は、COPD患者の在宅酸素療法実施の急性増悪発症予防および発症回数を低下させる可能性が示唆された(図2)。急性増悪症状出現までの平均日数は、介入群80.5日、対照群59.8 日で、介入することの有効性が示された。

注1):情報・通信技術(Information and Communication Technology)
注2):遠隔看護。患者ケア強化のために、ICTを看護に用い、遠隔コミュニケーション看護に応用して、患者と看護師が対面せずに看護を提供する方法
注3):COPD:chronic obstructive pulmonary disease、代表的な慢性呼吸器疾患であり、主に喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病
注4):本研究の成果は、共同研究により得られたものである。COPD患者実施例:亀井ら、’COPD 在宅酸素療法実施者への在宅モニタリングに基づくテレナーシング実践の急性増悪および再入院予防効果―ランダム化比較試験による看護技術評価―’, J. Jpn. Acad. Nurs. Sci., 31, 24, 2011.

 

図1 テレナーシングシステムのイメージ

図1 テレナーシングシステムのイメージ

図2 テレナーシング介入中の急性憎悪

図2 テレナーシング介入中の急性憎悪

応用例・用途

  • テレナーシングシステムは、在宅看護中の慢性疾患患者、特に入院や救命救急を必要とし得る患者のモニタリングに極めて有用である。

研究設備

  • 看護モニターセンターの常設