マグネシウム材料中の微量元素定量法に関するJISおよびISO標準化 (環境科学系 上本道久)

マグネシウム材料中の微量元素定量法に関するJISおよびISO標準化

整理番号:2017-005


研究者名: 上本 道久(Michihisa Uemoto)
所  属: 理工学部 総合理工学科 環境科学系 常勤教授
専門分野:分析化学、無機化学、環境動態解析、リサイクル
キーワード:ICP発光・質量分析法、 ISO、 JIS、標準化、分析規格、マグネシウム合金

研究概要

本研究室では日本工業規格(JIS)および国際標準化機構(ISO)の標準化に向けて、ICP発光分析・ICP質量分析法によるマグネシウムおよびマグネシウム合金中の微量元素の定量法を開発しています。

これまでに、マグネシウム合金の分析試料の採取方法や、 ICP発光分析法によるマグネシウム材料中のスズ(Sn)ベリリウム(Be)カドミウム(Cd)の定量法がJISで規格化されました。
現在は、水銀(Hg)の定量や 希土類元素(Y, La, Ce, Gd)を含む新合金の分析と国際標準化に取り組んでいます。

マグネシウム合金は実用金属中最軽量で輸送機器分野等での需要増加が見込まれますが、合金に添加された金属元素を個別に定量する分析法が未確立であるなど、分析規格が追いついていないのが現状です。
また合金中微量元素の局在状態を紫外レーザーで調べるなどの新しい実験も行っています。

従来技術に比べての優位性
国家標準や国際標準として規定された、定量下限値などの信頼性が検証された分析手法であり、材料取引の際に検査証明書の信頼性が担保できる分析が可能になります。
新合金の均質性など材料評価が可能で、製品の強度や耐久性などを化学的に調べることができる。

相談に応じられるテーマ

  • 各元素に最適な分析方法・評価技術の提案
  • 金属材料中の微量元素の分布や偏在の測定方法

 

 

図1 マグネシウム材料の主な用途
出典: 日本マグネシウム協会ホームページ(http://magnesium.or.jp)

マグネシウム材料の標準規格

JIS H 2150:2006(純Mg), JIS H 2221:2006(合金),JIS H 2222:2006(合金)
ISO 8287:2011(純Mg), ISO 16220:2005(合金)
ASTM B92/92-11(純Mg), ASTM B94-13, B80-15,B90/90M-13, B91-12, B107/107M-13(合金)

マグネシウム材料の分析規格の手法開発

酸溶解‐直接噴霧導入‐ICP発光分析法による微量元素定量法を開発しました。共同分析による最適化と標準プロトコルの構築を行い、主成分濃度1-2%(質量分率)の溶液を直接噴霧導入する手法を提案し、JISで規格化されました。

JIS規格化: Sn, Be, Cd 定量法
スパーク放電発光分光分析法
分析試料採取方法
 
ISO project 進行中: Sn, Hg, Be 定量法

応用例・用途

  • マグネシウム材料や製品の取引における信頼性確保
  • 高強度耐熱合金の開発の推進(化学組成と対応づけた物性の評価)

研究設備

  • 高速液体クロマトグラフ(HPLC)、原子吸光光度計(フレーム、ファーネス共用)
  • 熱分析装置、湿式化学分析用実験室および機器室