強誘電体の電気物性測定の極意~強誘電性の確認と温度依存的電気物性測定例~(物理学系 山口俊久)

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強誘電体の電気物性測定の極意
~強誘電性の確認と温度依存的電気物性測定例~

整理番号:2016-006


研究者名: 山口 俊久(Toshihisa Yamaguchi)
所  属: 理工学部 総合理工学科 物理学系 教授
専門分野:電気物性、物性実験、強誘電体
キーワード:強誘電体、DE 履歴曲線、自発分極

研究概要

強誘電性とは、焦電性注)結晶の自発分極を外部電界の印加によって反転可能な性質を言い、ある温度以下で強誘電性が出現する物質を強誘電体と言う。ここでは、我々の研究室で改良したD-E履歴曲線測定法による自発分極の測定について紹介する。

  • DE 履歴曲線が観測されれば、強誘電性を確認したと言える。 従来、D-E履歴曲線の補償にはソーヤ・タワー回路が用いられてきたが、誤差を小さくするため、改良した回路を開発した(図1)。
  • 補償前のD-E履歴曲線は図2 (a)のようになるが、改良型回路(図1)により履歴曲線を補償することで、図2 (b)に示すような純粋な自発分極の成分(強誘電成分、F)のみの観測が可能になる。
  • 代表的強誘電体、硫酸三グリシンに約325 K以下で現れるDE 履歴曲線を測定し、決定した自発分極の温度依存性を図3に示した。

注):温度変化にともない、誘電体の表面電荷が温度変化分に相当して変化する性質

 

図1 改良型ソーヤ・タワー回路 改良回路部
:黄色部分

図2 D-E履歴曲線の補償(模式図)
赤い楕円:誘起分極成分(C)と導電成分(G)を表す 改良型回路によりCとGの成分を除去し、強誘電成分(F)を求める。

図3 硫酸三グリシンの自発分極温度依存性

応用例・用途

  • D-E履歴曲線測定法や焦電荷法による自発分極の精密測定が出来る。
  • 長年の強誘電体研究の成果や経験に基づいて、測定上の技術相談ができる。

研究設備

  • 極低温電気物性測定装置
  •  熱伝導率測定装置
  • 卓上単結晶引き上げ装置