強誘電体及び関連物性の研究情報提供(物理工学系 高重正明)

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強誘電体及び関連物性の研究情報提供

整理番号:2016-002


高重先生-顔写真

研究者名: 高重 正明(Masaaki Takashige)
所  属: 理工学部 総合理工学科 物理学系 教授
専門分野: 物性物理学実験、電気電子材料、物理教育
キーワード: 強誘電体、相転移、原子間力顕微鏡、90度分域

研究概要

我々の研究室では、強誘電体を対象とした研究を行っています。今までに、一般式A2BX4型をもつハライド化合物(Aは1価のアルカリ金属、Bは2価の遷移金属、Xはハロゲン)やタングステンブロンズ系酸化物において、10種類以上の強誘電体を発見した実績があります。
強誘電体は、相転移注1)という現象により発現する物性です。温度を変えることで起こる相転移を対象にした研究、つまり温度を変えながら、誘電率や自発分極などの測定、分域の観察などを行ってきました。数多くの先駆的なデータを発表していますが、とりわけ注目されたものに原子間力顕微鏡による分域の観察があります。強誘電体は通常自発分極の向きが反平行になった状態(180度分域)に分かれていますが、特別な場合には自発分極の向きが、ほぼ垂直なった90度分域というものが存在することもあります。

BaTiO3の90度分域 (原子間力顕微鏡写真、矢印は分極の向き)

BaTiO3の90度分域
(原子間力顕微鏡写真、矢印は分極の向き)

90度分域が発生する時には、結晶の表面が波打つことが予想されていましたが、右図は、チタン酸バリウム(BaTiO3)の90度分域の原子間力顕微鏡観察において、それを実証したものです。
強誘電体分域の電場による反転現象は、メモリー素子への利用が実用化されています。また、外部電場を印加することで、90度分域は大きな表面形状の変化を起こすので、分極反転による疲労現象に大きな関わりがあります。
我々の研究室での、このような長年の強誘電体研究の成果や経験を基にして、物質構造と誘電体入門(高重正明著、裳華房、2003)という本を出版していますが、全国のこの分野の大学院では標準的な教科書として多数使われています。

注1):外部条件(圧力や温度等)を変化させた時、物質の状態がある条件を境目に、際立って変わる現象

応用例・用途

  • 強誘電体関連材料の研究情報や原子間力顕微鏡全般について、助言できます。
  • 分域の外部電場に対する応答を、電気機械変換素子へ利用できる可能性があります。

研究設備

  • 超伝導磁気浮上懸垂走行装置
  • 低温電気物性測定装置(共同利用)
  • チョクラルスキー結晶育成装置(共同利用)